きちんと相続人全員で遺産分割協議を作成している場合には,原則として,遺産分割協議のやり直しはできません。
ただし,
・遺産分割協議の際に,相続人の一部が漏れていた場合
・親子とともに相続人であるにもかかわらず,その親が親権者として子を代理して遺産分割協議を行った(利益相反)場合(この場合には,子について特別代理人の選任が必要です。)
・相続人の一部が,遺産分割を行うために必要な意思能力を欠いていたにもかかわらず,そのまま遺産分割協議がなされた場合(この場兄は,意思能力がない相続人について成年後見人の選任が必要です。)
には,特別代理人・成年後見人の選任等の必要な手続きをとって,改めて相続人全員で遺産分割協議をしなければなりません。
また,
・相続人全員が遺産分割のやり直しに同意をした場合
・遺産分割の際に,重大な財産の漏れがあり,その遺産の存在を知っていれば,遺産分割に合意をしなかった認められる場合(錯誤無効の場合)
・遺産分割をするにあたって,強迫が行われ畏怖したり,騙されたりして遺産分割協議書に調印したとして,強迫・詐欺による取消が認められる場合
には,遺産分割協議のやり直しをすることができます。
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