遺言書作成

遺言書を書くメリット

 遺言書とは、自分が亡くなったのちにその財産を誰に引き継いでいくかということなどの自分の意思を記したものです。
日本の相続法(民法)では,遺言書を作成し、それに基づいて相続を行うことを前提としています。
 遺言書を作成するメリットとしては、次のことが挙げられます(詳しくは,Q&A 遺言書は何故必要ですか。)。

  • 大事な家族が揉める温床となる遺産分割協議を行うことなく相続できます。
  • 相続手続が簡単になります。
  • 早く相続手続が完了します。

遺言書の種類とそのメリット・デメリット

日本では,次の種類の遺言書があります。

  • 自筆証書遺言 … 遺言者自身がその全文、日付及び氏名を手書きで自書し、これに印を押して作成する遺言書です。使う紙であるとか、書式は問いません。ただ、全文手書きである事が必要で(なお財産目録については、相続法改正で一定の要件の下でパソコンで作成することが認められるようになりました。)一番手軽かつ安価に作成できる遺言書です。
  • 公正証書遺言 … 公証役場において公証人が作成する遺言書です。公証人とは別に証人が2人必要であったり、手続的には一番しっかりしており紛失なおそれもなく法律上検認の手続も不要で複雑な遺言書を作成するのに向いています。費用はかかりますが公証人は出張してくれます。
  • 秘密証書遺言 … 自筆証書遺言と同様に遺言者自身が作成する遺言書ですが氏名を自署し、押印をすればその他の文章はパソコンで作成するができます。このように作成した遺言書を封筒に入れて封緘し、遺言書に押した印鑑をつなぎ目に押印して封印します。そしてこれを公証役場に持って行き、公証人と証人2名の前に封書を提出して自己の遺言書であることや氏名住所を申述し公証人がその証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し印を押すという手続を行う遺言書です。遺言の内容を生前に家族に知られたくないという方のための遺言書です。上の2つの遺言書に比べるとあまり使われていません。

各遺言書のメリットとデメリットをまとめると次のとおりです。

種類 メリット デメリット
自筆証書遺言 ・費用がかからない
・手軽
・比較的秘密にできる
・要件不備で無効になりやすい
・紛失の恐れが高い(この点は,相続法改正で,法務局による保管制度ができました。)
・検認手続が必要
・複雑な遺言に向かない
公正証書遺言 ・無効になる恐れが低く,複雑な遺言書に向いている。
・紛失の恐れがない
・遺言の存在と内容を明確にできる
・検認手続が不要
・費用がかかる
・遺言の内容が漏れる可能性が若干ある
秘密証書遺言 ・遺言の内容を秘密にできる
・遺言の存在を明確にできる
・要件不備で無効になりやすい
・検認手続が必要
・費用がそれなりにかかる

 基本的には,『お金をかけずに簡単な遺言書を作成したい』『とにかく作成を急ぎたい』という方については自筆証書遺言を。『不動産を持っている方』『会社の経営者の方』『高齢で字を書くのが大変』という方などには公正証書遺言をお勧めしています。
 もし、どのような遺言書が一番合うか迷われたときは是非一度、私達にご相談ください。あなたに最も適した遺言書の種類と進め方をアドバイスいたします。

遺言書の書き方

  • まず,大事なことは,どの財産を誰に引き継がせるか,誰にお墓を継いで貰うか,誰を遺言執行者にするか(後述)といったことを決めることです。
  • 次に,それを文書にしていきます。

 例)不動産は長男に相続させたい場合

1 私は,下記不動産を長男・〇〇(平成〇年〇月〇日生)に相続させる。

(1) 土 地
所  在
埼玉県川越市…
地  番
〇番〇
地  目
宅地
地  積
〇〇.〇平方メートル
(2) 建 物
所  在
埼玉県川越市…
家屋番号
〇番〇
種  類
居宅
構  造
木造瓦葺2階建
床面積
1階 〇〇.〇平方メートル
2階 〇〇.〇平方メートル
例)銀行預金は次女に相続させたい場合
2 私は,下記預貯金を次女・〇〇(平成○年○月○日生)に相続させる。

(1)〇〇銀行
〇〇支店 普通預金 口座番号1234567
(2)〇〇農業協同組合
〇〇支店 普通貯金 口座番号9876543
例)長男を祭祀承継者(お墓や仏壇など先祖を祭る財産を引き継ぐ人のことです。)に定めるたい場合
3 私は,祖先の祭祀を主催すべきものとして,前記長男を指定する。

例)遺言執行者を弁護士法人に指定したい場合
4 私は,この遺言の遺言執行者として,弁護士法人〇〇〇〇(主たる事務所・埼玉県〇〇市◇◇町・・番地,社員氏名)を指定する。
  • 大事なことは誰に何を相続させるかということをはっきり書くことです。特に不動産に関しては、例えば「長男・二男及び三男に各3分の1ずつの割合で相続させる」というような書き方をしてしまうと、せっかく遺言書を頑張って書いたのに結局相続人間で分け方を決めなければならず,、める火種が残ってしまうのです(不動産は切り分けできませんからね。)。
    これに対して預貯金については、遺言執行者がいる場合には割合で定めることもあり得なくはありません(それでもどの預貯金を誰に相続させるかを決めた方が良いとは思います)。
  • このほかにも,未成年者後見人の指定、相続人の廃除やその取消、子どもの認知などの身分行為も遺言書で行うことができます。
  • また遺言書の作成において、実は家族に対するメッセージを残すことが大事です(一般に付言事項といいます。)。なぜ相続財産をそのように分けたかという理由や家族への感謝の言葉、家族のことを大事に思っているというメッセージなどを書くのです。これは私は相続で揉めないための一番大事な要素だとも思っています。特に相続人間で相続分のバランスが取れていない場合には相続分が少ない相続人に対するフォローの言葉があることが大事です。

遺言書の書き方については是非一度、私達にご相談ください。ちゃんと相続に対して前向きに考えを整理できると思います。

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遺言の執行の方法

せっかく遺言書を作成しても相続人にとっては遺言書どおりに財産を分ける手続をしていくことは大変です。また相続人間で力関係に差があるときは、遺言書の内容を無視して声が大きな人の言うとおり遺産を分けることにもなりかねません。
ですので、遺言書の中で遺言執行指定しておくことをお勧めします。
遺言執行者は遺言書の内容を相続人に通知し、預金の分配や不動産の登記名義の変更などをその権限において実施します。
そして、できれば弁護士にお任せ頂いた方が良いでしょう。先ほど述べましたように遺言の執行は意外に大変で、ある程度の相続に関する知識は不可欠です。また、相続人を遺言執行者に選任するよりも相続人間のトラブルの芽を摘むことができますし、手続もスムーズに進みます。
遺言の執行方法については、親族の方を遺言執行者に据えた上で私達のような弁護士を代理人として遺言の執行手続を行うという方法もあります。
一度どういう遺言執行方法が良いかと言うことについてご相談ください。もっとも適切な方法をアドバイスいたします。

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