相続人以外の人が寄与分を主張することはできますか。

Q&A 遺産分割のQ&A

質問相続人以外の人が寄与分を主張することはできますか。

特別の寄与の主張というのは,本来,相続人のみが主張できるものです。
これに対して,平成31年の相続法改正により,特別寄与者による特別寄与料の請求という制度が新設されました。これは,被相続人に対して無償で医療看護等の労務を提供した被相続人の親族(特別寄与者)は,相続が開始した後に,相続人に対し,特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(特別寄与料)の支払を請求できるというものです(民法1050条)。

請求することができるのは「親族」(6親等以内の血族,配偶者及び3親等以内の姻族)です。被相続人の友人等が療養看護をしても特別寄与料を請求できません。
手続としては,まずは,当事者間で協議をし,当事者間に協議が整わないときは,特別の寄与者は家庭裁判所に対して協議に変わる処分を請求することになります(調停・審判)。もっとも,特別寄与者は相続人ではありませんから,特別の寄与が認められた場合であっても,遺産分割協議や遺産分割調停・審判に参加できるわけではありませんし,金銭以外の財産を受け取ることもできません。そして,特別寄与料は,特別寄与者が相続開始及び相続人を知ったときから6ヶ月が経過した時又は相続開始から1年が経過すると請求ができなくなりますのでご注意下さい。
相続人が複数の場合には,特別寄与料の支払の負担は,各相続人の相続分に応じて負担することとされています。

特別寄与料の請求における貢献の種類は,条文上「労務の提供」となっていますので,療養看護型,事業従事型,扶養型は対象となりますが,相続人の寄与分の場合と異なり,財産出資型は含まれません。

新しい制度ですので,中々,当事者かだけで話し合うというのは難しいと思います。もし,上手に話合いができなさそうと感じたときは,ぜひ一度私達にご相談下さい。

-Q&A, 遺産分割のQ&A

お問合せ
初回相談60分無料
遺言書無料診断

関連記事

遺産分割協議書を作成してしてしまいましたが,内容が腑に落ちません。遺産分割協議のやり直すことはできますか。

きちんと相続人全員で遺産分割協議を作成している場合には,原則として,遺産分割協議のやり直しはできません。 ただし, ・遺産分割協議の際に,相続人の一部が漏れていた場合 ・親子とともに相続人であるにもか …

遺言をすればそのとおりに内容が実現されますか?

遺言を作成すれば、基本的にはその通りの内容を実現できますが、例えば不動産の登記など色々と手続きが必要です。 ですので、弁護士等を遺言執行者として定めていた方が、より遺言の実現がスムーズになります。 特 …

調停での話合いがまとまらない場合は,どうなるのですか?

遺産分割の審判に自動的に移行します。審判は,調停とは異なり,裁判官が証拠に基づいて判断しますので,一定の結論がそこで出ます。もっとも,遺産分割のような家族観の問題については,可能な限り,当事者の話合い …

遺留分侵害額請求をできる人は誰ですか。

遺留分とは、一定の相続人に認められる最低限の相続分の割合のことをいいます(民法1042条)。 遺留分侵害額請求をできるのは、兄弟姉妹以外の相続人、すなわち、子と直系尊属(父母)です。 基本的には,本来 …

遺留分を一度放棄してしまうと遺産を一切相続できなくなるのでしょうか。

いいえ。遺留分を放棄したとしても、相続分の放棄とは別ですから、相続することができなくなるわけではありません。 ただ、例えば、遺留分の生前放棄をするような場合(民法1049条)には、他の相続人(ら)に財 …

お問合せフォーム ルネサンス電話